大きな音が聞こえるか

by 坂木 司 | Other |
ISBN: 4041103444 Global Overview for this book
Registered by Omabu of Kitakyushu / 北九州市, Fukuoka-ken Japan on 1/14/2013
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Journal Entry 1 by Omabu from Kitakyushu / 北九州市, Fukuoka-ken Japan on Monday, January 14, 2013
【帯より】
“終わらない波~ポロロッカ~”に絶対乗るんだ
今日の続きが明日。それが当たり前。
でも僕は、当たり前のような顔をして、大人になんてなれない。

この波に乗ってみないか
八田泳、高校一年生。
そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。
帰宅部。唯一の趣味はサーフィン。
凪の様に平坦な生活に自分を持て余している。
だがそんな矢先、泳は製薬会社に勤める叔父がブラジル奥地へと行くと知らされた。
さらにアマゾン川の逆流現象=ポロロッカで波に乗れるという情報を聞いて―
小さな一滴が大きな波紋を生んでいく、等身大の成長物語


【書評】
帯に書かれた文を見ても、正直ピンと来なかった。
「大人になんてなれない。」だと?
どこぞのピーターパン症候群のクソガキが非現実的な旅に出掛けて一皮むけるお話し。そんな味気ない書籍に貴重な時間を割くなんてどうかしてるぜっ!!と、冒険小説なるジャンルに対する食わず嫌いが鬼先行。それでも手にして読んだ理由。それは、最初に目にした参考文献が大きな理由だ。

「胸がドキドキ」ザ・ハイロウズ(歌詞・甲本ヒロト/真島昌利)

正直、こんな参考文献は未だかつて見た事がない。同時に上がるテンション、僕自身の30歳という年齢が、たかが数文字の言葉の列によって瞬く間に青春まっただ中に叩き込まれた。なるほど、表紙は透き通るようなブルー、めくればそこに“Can you hear your heartbeat?”のメッセージ。なるほどなと。この書籍はブルーハーツ好きが書いた情熱白書なんだなと。そんなもん・・・

良書じゃない訳がない。

そう思い読み始めた本書。ドワーフと仲間になり、ドラゴンを退治しに行く訳では無いけれど、邪悪な魔法使いに掛けられた魔法を解きにカエルの姿で冒険する訳では無いけれど、高校一年生の経験する日常それはまぎれも無くアドベンチャーな訳で、“平凡な日常と非現実的な出来事との境界線はいとも簡単に越えられる。”というメッセージは、物語を通して絶えず僕の心へ直接的に語りかけてくれていた。そう、それはまるで黒くて温かいネグロ河と茶色くて冷たいソリモンエス河の境界線上を船で走り、その両側に手を浸けて違いを感じる事が出来ることのように。

少年の揺れ動く心と、“日常の延長線上にある非日常の経験”が、若干したり顔の、世間を少しばかり把握した気でいる30歳地方銀行員の心を、まさかここまでワクワクで満たしてくれるとは正直予想外だ。

川幅が最大で500km(東京~大阪)とも言われるアマゾン川、その大河を逆流するポロロッカ。日産の車に乗っていない僕でも叫びたくなる「 NO LIMIT!!」
その冒険を高校一年生の大人へのステップと共に表現した本書、そのバランス感覚に脱帽。と、同時に自然と感じる「夢は語れば加速する。」というメッセージ。

説教がましくなく、胸がドキドキする感覚をここまで呼び起こしてくれたのは、ハイロウズではなく、まぎれも無く著者の筆力の賜物だ。今年一発目の読書、本書に決めて大正解。

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