地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む(DOJIN選書20)

by 江守 正多 | Nonfiction |
ISBN: 9784759813203 Global Overview for this book
Registered by Aslia of Hiroshima / 広島市, Hiroshima-ken Japan on 12/13/2008
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Journal Entry 1 by Aslia from Hiroshima / 広島市, Hiroshima-ken Japan on Saturday, December 13, 2008
かなり易しい科学の本です。

Journal Entry 2 by Aslia from Hiroshima / 広島市, Hiroshima-ken Japan on Saturday, December 13, 2008
内容
 地球温暖化の予測について、地球温暖化とはなにか、何が原因で、これから何が起るのか、ということが、一般向け論文風に書いてあります。

凄い! ところ
 難しい話になりがちな科学の分野を、こういうふうに易しく述べることが出来るのは、相当のスキルがあると見ましたね。誠実な人柄でもあるようで、コンピュータのシミュレーションが重要だ、と書いておきながら、だからといってコンピュータにカネをかけるのがいいとは限らない、とも書いてあるのです。最新型のコンピュータがどんどん欲しくて、余計な予算を使わせようとしていたら、そんなことは書かないと思いますので、好感を持ちました。
 面白い! ところ
 引用します。
「さて、手順の最初で早くも「わかりません」となっては、ここで話が終わってしまいます。そういうわけにもいきませんので、少し別のやり方を考えましょう。どうするかというと、将来の社会経済については、さまざまな場合を考えることにします。今から想定される世界をあんな可能性もある、こんな可能性もあると、様々な可能性をカバーするようにいくつも描いていきます。そういう想定の一つひとつを専門的には「シナリオ」と呼びます。これから一〇〇年くらいの世界の社会経済の発展について、このシナリオをいくつも描くことによって、それぞれのシナリオについて温暖化の予測がえられます。これを「シナリオ分析」といいますが、この時点で既に、純粋に自然科学的な意味での予測とは意味が違っていると言えるでしょう」(P58)
 また、こんな記事もあります。
「このように分類した時点では、それぞれのシナリオは一つの「お話」でしかありあmせん。たとえば、もしも将来の世界が経済重視で国際化が進むと、どんな世の中になりそうかというお話、これを「ストーリーライン」とよんでいます。」(P62)
これだけ読んでると、科学の本ではなく、まるで創作の技術の本じゃないか、というようなことを平気で書いてあるんですよね。理系の本なのにストーリーライン! 面白いですねえ。

 ありえない! ところ
 色々、面白い記事が沢山載ってますが、そのどれも、慎重な口調で書かれており、これはこうだ、という断定やシロクロはっきりつける態度では全くありません。予測が「正しい」か? と聞かれて、ある程度は正しいけど100%自信はない、つまりようわからん、という態度なのですな。もしも、「絶対こうだ!」という断定を期待しておられる方がおられたら、それは間違った本を選んだことになります。
 でも、それって科学者として、当然の態度でありまして、今更、「ようわからん」とかつらつら言われたって、それじゃあ、私らはどうしたらいいんでしょう、という感じなんですよね……。それは、温暖化に限らず、進化論についてもそうなんですが。
 余談になるんですが、ダーウィンの進化論における、自然淘汰という考え方は、現在否定されているのです。つまり、生物が自動的に弱肉強食で淘汰されていく、という考え方は、もう、古くて、今は「見えざる神の手」が淘汰に関与した、と考えるのが科学者のトップの間で常識になっているのですが、日本ではまだまだ自然淘汰という考え方が一般的なのが普通です。神なんて持ち出すのは非科学的だと考えている方が大勢おられるわけです。でも、勝手に淘汰することが証明できず、自然も意志を持っている、と考える方が科学的である、というこの状態をどう考えるのか。その辺、だれも考えないところが、日本における科学と教育の乖離を感じます。(ダーウィンがキリスト教と対決したことは教えても、こういうことは教えないのが日本ですからね……)
 それに乗じてアメリカでは「天地創造博物館」という、聖書の記述こそが絶対に正しい、という博物館まで出てくる始末で、科学の真理とはなにか、ということまで考えると、「科学的常識」のあいまいさや、不確かさを感じざるを得ません。
この本が、科学的態度のあるべき姿を示しているのなら、現在基盤となっているパソコンや携帯電話などの物理法則なども、いずれ覆されるかも知れない、とことまで考えなくてはならなくなるでしょう。全く新しいコンピュータが出てくる可能性もあります。その意味では、温暖化について書かれたというよりは、自分の常識を疑う、という態度を教える本なのではないか、という気がしています。

Journal Entry 3 by mikan7360081 from Hiroshima / 広島市, 広島県 Japan on Thursday, November 26, 2009
安芸郡海田町のかわもと皮膚科で見つけました。

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